ぬるい
もう秋子の季節が来たね〜 って言った時から1年も経ってしまったのか
秋子は だからわたし秋別に好きじゃないからやめてよ! と去年と全く同じ台詞を言った
変わらない
なまぬるい空気 音 時間 ひと、ひと
なにも変わらない
変わらなくていい たとえ平成が終わっても なにも変わらなくていい
ヘアアイロンの熱
コンクリートの雨の柄
幼少期の自分の写真を載せる人
膝をかく音
スーパーのダサいクリスマス飾り
コートのポケットの中のゴミ
濡れたベルベット
銀杏を拾う老人
既読4
手はいつでも温かい、君
わたしが見ている世界は 録画できない
覚えている間だけ在って
忘れた瞬間この世から消えて無くなるけど
わたしたちは忘れたことさえ知らないから別に寂しくないよね
変わったかもしれない 秋子も去年と違うことを言ったかもしれない
でも変わらない なにも変わってない そう思っていたい
この先もわたしたちは どうでもいいことを覚えたり大切なことを忘れたりして
曖昧で、ぬるいおわりを繰り返す